現在、日本で製造される洋食器の大部分がステンレス製です。そもそも「ステンレス」とは「ステンレス・スチール」の略で、日本語に直訳すると「錆びにくい鋼」という意味で、鋼をベースにクロム、あるいはクロム、ニッケルなどを添加した合金鋼です。
これらを添加することによりステンレス表面を大気中の酸素とクロムが化合して無色透明の酸化被膜(不働態被膜)がステンレス表面を覆います。この被膜がステンレス自体と酸素が触れるのを防ぎ、酸素と鉄の化合物である「錆」の発生を防止します。
また、ステンレスはクロムやニッケルの含有量により、13クロム・ステンレス、18-12ステンレスなどのグレードに分かれ、酸化被膜の堅牢性はグレードにより異なります。クロムやニッケル成分が多いほど耐食性、耐久性が良くなり、ステンレス製洋食器に特有の「金気(かなけ)」もクロム、ニッケル成分が多いほど軽減されます。
反面、クロムやニッケルの含有量が多くなるに従い、硬度が増して加工性が悪くなります。グレードの高いステンレス製洋食器を作るには卓越した製造ノウハウが伴います。現在、高級ステンレス製洋食器を製造するメーカーは世界でも少なく、サクライはその中の日本の雄として、数々のベストセラー商品を生んでいます。 |