銀器の本場ヨーロッパで、銀器が最高といわれるのは、財産的な価値は勿論ですが、手触りや口当たりが良く、料理の味を損ねず、触れあう音の響きは重厚そのもので、上品な輝きがあるからです。
しかし、銀器には「変色」という宿命があります。手入れをしなければ、まちがいなく変色します。だからこそ、手入れをし、大切に扱います。ヨーロッパの人たちにとって「銀器は手入れをするもの」なのです。一方、日本では銀器の歴史が浅いこともあり、認識はそこまで行っていません。
我が国も洋食文化が根付き始め、料理の素材や調理方法には詳しくなりましたが、銀器はまだ使いこなされていないのが実情です。
それでも、何故、銀器が良いとされるのか? 上品な光沢は勿論ですが、「料理の味を損ねない」ことと優れた「殺菌力」にあります。衛生さが求められる食器に、この「銀の殺菌力」は極めて好ましい性質です。
そもそも洋白とは、銅・ニッケル・亜鉛が主要成分の合金で、比重(重さ)や質感が銀に似ています。そのため、素材そのものが稀少で高価な銀の代わりに、高級カトラリーに用いられています。普通、洋白銀器は純銀メッキを施し、フォークやスプーンのハンドル裏面、ナイフのハンドル部に「E.P.N.S」あるいは「NICKEL
SILVER」と、刻印で表示してあります。通常、銀器といえば「洋白銀器」をさします。
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